Tai-Maxの日記

私たちは日々の生活の中で膨大な量の情報にさらされています。知りたいことがあればインターネットを使ってすぐに調べることができます。まさに情報社会です。 しかしそんな情報に対する私たちの態度はどうでしょうか。 簡単に手に入る情報を鵜呑みにしてしまったり、そもそもよく調べないまま上辺だけの知識に留まってはいないでしょうか。 情報に対して受動的ではなく、能動的な態度で挑もうというのが『思考日記』のテーマです。 ここでの内容はあくまで個人的見解なので、異論は受け付けます。 ​皆さんも一緒に思考してみてください。

【思考日記】「物」と「事」の違い、説明できる?

日本語を教えている時、よく「ここには名詞(物)が入ります」みたいな教え方をしてしまう。まあそのように研修を受けているからなんだけど。確か中学の時、英語のthingという単語を勉強した時に「どうして「物」と「事」の二つの意味があるんだろ」って疑問に思ったことがある。「物」と「事」ってすごくペアな感じがするけど、その言語的振舞いは結構違う。この感覚は恐らく、根本的には両者は同じだけど、人間の言語がそのように誘惑しているからだと思う。簡単に考えて、「物」はその場にただ単に存在しているもの。名詞で呼ばれる。それに比べて「事」は命題的であり、表現も長ったらしく、空間的・時間的な説明を必要とするように思える。例えば、「本」は「物」である。でも「本が机の上にある」は「事」である。「本が机の上にある」ということには時制(ある/あった)が含まれているし、本が存在している場所についての言及も含まれている。さらに後者には真偽性の判断も可能なように思える。「物」はすでにその存在が確定しているものである一方、「事」はそれが真であるか偽であるかは定かでない(故に命題的である)。つまり、「物」と「事」は根源的には等価の性質であるが、どの粒度で見るかで区別されているのだと考えられる。