嘘つきの才能
先日とあるバーでスペイン人、フランス人、ポーランド人の同僚とお酒を嗜んでいた。
すると、隣で完全にデキあがっていた台湾人のオジサンがいきなり
「君たちはなに人だ。」と絡んできた。
スペイン人の同僚はあまりそのオジサンと関わりたくなかったのか、ロシア人と嘘をついた。
するとオジサンは「俺はロシア語がわかるから、何か話してみろよ。」と煽ってきた。
(なんでロシア語わかんねん!!!笑)
当然話せるわけもなかったので、
ロシア生まれのメキシコ育ちとさらに嘘をついた。
メキシコではスペイン語が話されているので、それでオジサンは納得した様子だった。
私はというと、国籍、職業、年齢全て
ガッツリ本当のことを言ってしまった。
出来れば言いたくなかった。
でも嘘が思いつかなかったのである。
スペイン人の同僚のように、嘘で辻褄を合わせていくことに自信がなかったのである。
嘘とは、現実にはない事柄について語ることである。
個人的なイメージで言うと、
文字通り、地に足がついていない状態で歩くような感じである。
語る対象が現実世界にはないのでどこかフワフワした感じである。
私だって、単発的な嘘なら問題ない。
職業を聞かれて、大工さんですと答えることは出来る。
しかし、それをさらなる嘘で紡いでいくことが出来る気がしない。
地面から物を浮かせるだけでも難しいのに、さらにその浮かせた物の上に別の物を付け加えていくなんて出来そうもない。
嘘とは創造力である。
そういえば『サピエンス全史』でも、
ホモ・サピエンスが虚構の術を身につけたことで、他の人類のように淘汰されずに済んだということを言っていたような。。。