【思考日記】不平等は悪!?~『21世紀の資本論』~
ちょっと前に話題になったトマピケティの「21世紀の資本論」に手を出してみた。
そこで思ったこと。「不平等」というワードはネガティブな意味で取られることが多い。まあ確かに言葉それ自体はネガティブなのかもしれないけど、コンテクストによってその意味のあり方は変わってくる。たとえば、ある年の国民総所得のうち30%を上位10%の人たちが所有していたとして、残りの90%の人たちで国民総所得の70%を分け合わなければならなかったとする。そして次の年では、同じ国民総所得で上位10%が得る所得が50%に増えたとする。この場合、パイの大きさは変わっていないわけだからゼロサムゲーム。つまり不平等が拡大したと言える。でももし、次の年にパイの大きさ、経済が成長して国民総所得が増えたとすると、同じ50%の分け前でも90%の人たちはより多くを受け取ることができるようになる。当然、上位10%の人たちの取り分も相対的に増大するけど、この場合おそらく不平等の拡大はそこまで目立たない。このコンテクストで考えると、不平等は必ずしも悪ではないということ。ピケティの主張とはポイントが違うけど、不平等な状況に陥ったときに人間がすることは優勢の側を非難することが多い。でもそれだと状況は停滞したままになってしまう。本当にしなければいけないのは、どうやってパイを大きくしていくのかについて考えることだと思う。